大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

静岡地方裁判所浜松支部 昭和44年(ワ)65号 判決

原告

浅野春吉

ほか一名

被告

丸倉運送株式会社

ほか二名

主文

被告らは各自、原告浅野春吉に対し金二三〇万九四六二円原告浅野くに対し金二二四万九、八〇七円と各金員に対する昭和四四年三月七日より各完済まで各年五分の割合による金員を支払え。

原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は五分してその二を原告らの負担とし、その余を被告らの連帯負担とする。

この判決は第一項にかぎり仮に執行することができる。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、原告ら

「被告らは各自、原告浅野春吉に対し金四〇六万八、二二七円、原告浅野くに対し金三九九万九、八〇七円と各金員に対する昭和四四年三月七日より完済に至るまで年五分の割合の金員を支払え。訴訟費用は被告らの連帯負担とする」

との判決ならびに仮執行の宣言

二、被告丸倉運送株式会社および被告鈴木

「原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする」

との判決

三、被告野沢

「原告らの請求を棄却する」との判決

第二、当事者の主張

一、原告らの請求の原因

(一)  事故の発生

亡浅野忠喜(たんに亡忠喜という)は昭和四三年八月七日午後九時二〇分頃、被告野沢の運転する自動二輪車に同乗して静岡県浜松市向宿町三一五番地先交差点を西進しようとしたところ、同所へ南進して来た被告丸倉運送株式会社(たんに被告会社という)の所有で、その従業員の被告鈴木が運転していた大型貨物自動車(たんに被告車という)と出合頭に衝突したゝめ、亡忠喜は跳ね飛ばされて脳挫創および右大腿骨開放骨折の傷害をこうむり死亡するに至つた。

(二)  責任原因

右事故は被告鈴木および同野沢の各前方注視義務違反の過失によつて生じたものであり、かつ、被告会社は被告車の保有者であるから、被告らは各自亡忠喜の負傷死亡によつて生じた次の損害につき賠償義務がある。

(三)  損害

1 逸失利益

亡忠喜はかねて株式会社金指商店に勤務し、平均月額二万六、〇四三円の収入を得ていたが、自衛隊入隊を志望し、その準備のため昭和四三年七月一〇日に退職していたゝめ、本件事故当時は無収入であつた。

同人は当時満一八才五ケ月の健康な男子であつたが、厚生省発表の第一〇回生命表によれば、同じ年令の男子の平均余命は五〇・九一年とされているから、同人はその範囲内でなお四五年間は就労することが可能であつた。そこで同人が一八才から六三才までの間に得べかりし給与所得額を昭和四〇年度労働省労働統計調査部発表の賃金センサス表によつて計算すると、別紙計算表(1)記載のとおり合計金二、三二一万二、五二八円となるが、この期間における同人の生活費を所得額の三割とし、右金額からこれを控除した残額の純収入につきホフマン式計算法を用い年五分の割合の中間利息を控除して事故当時の一時払の金額を求めると金四九九万九、六一四円となる。

2 死体検案料、処置料および検案書作成費

原告浅野春吉は右費用として賛天堂病院に対し合計金五九〇〇円を支出した。

3 葬祭費

同原告は右費用として別紙明細表記載のとおり合計金一六万二、五二〇円を支出した。

4 慰藉料

亡忠喜が本件事故により死亡の結果を余儀なくされ精神的苦痛をこうむつたことはいうまでもないが、ほかに同人の実父母である原告ら自身も長男として将来に期待していた同人を失つたゝめそれぞれ甚大な精神的苦痛を受けた。

そこで被告らより慰藉料として亡忠喜および原告らそれぞれにつき金二〇〇万円宛の支払を受くべきである。

5 原告らの相続

原告らは亡忠喜の父母として同人の死亡により同人が取得した前記1および4の損害賠償債権合計金六九九万九六一四円の二分の一宛(すなわち金三四九万九、八〇七円宛)を相続した。

したがつて原告ら固有の損害を加えると、原告浅野春吉は合計金五六六万八、二二七円、原告浅野くは合計金五四九万九、八〇七円の各損害賠償債権を有することとなる。

(四)  損害の填補

原告らは本件事故後に自動車損害賠償責任保険より金三〇〇万円(すなわち原告につき金一五〇万円宛)の給付を受けたほか、原告浅野春吉は被告会社より葬儀費の一部として金一〇万円の弁済を受けた。

したがつて原告浅野春吉は金四〇六万八、二二七円、原告浅野くは金三九九万九、八〇七円の各損害賠償残債権を有する。

(五)  よつて原告らは被告らに対し、前記各金員とこれに対する最終の訴状送達の翌日の昭和四四年三月七日より各完済まで民事法定利率年五分の割合の遅延損害金を各自支払うべきことを求める。

二、被告会社および被告鈴木の答弁ならびに過失相殺の抗弁

(一)  原告ら主張事実のうち、その主張の日時場所において、被告会社の従業員の被告鈴木が被告会社所有の大型貨物自動車を運転して南進中、亡忠喜と被告野沢とが同乗した自動二輪車と衝突して亡忠喜が死亡したことは認めるが、当時被告野沢が自動二輪車の運転者であつたこと、原告浅野春吉の損害として同原告がその主張の2および3の各費用を支出したこと、原告らが亡忠喜の実父母であることはいずれも不知。その余はいずれも否認する。

かりに同原告が葬祭費を支出したとしても、その額は争う。亡忠喜の逸失利益の額の算出方法については、事故時に最も近い時期の昭和四三年四月から六月までの三ケ月間の現実の収入額を基礎として、月額二万六、〇四二円とすべく生活費は全収入の二分の一とすべきである。そして同人の就労可能期間は六〇才までとすべきである。右の基準にしたがつて逸失利益の額を算出すると左のとおり金三四八万三、二一六円となる。

(26,042円×0.5)×12=156,252円(年間純利益)

156,252円×22.29=3,483,216円(逸失利益)

慰藉料の額は被害者本人および原告らの分を併せて金二五〇万円と見るのが妥当である。

(二)  過失相殺について

被告野沢の主張によれば、本件事故当時亡忠喜が自動二輪車を運転していたというのであつて、もしそれが事実であるとすれば、亡忠喜は本件交差点が交通量の多い国道一号線を横断する危険な道路であることを知り、かつ公安委員会の指定した一時停止の標識のあることを知りながら、一時停止はおろか徐行義務すら怠り、毎時五〇キロメートル以上の高速度で見通しの悪い交差点に突入して本件事故を惹起させたものであり、その行為は自殺行為に近い無謀運転というほかはない。

これに反し被告鈴木は当時優先道路を毎時約三〇キロメートルの低速度で進行していたものであり、その過失は極めて軽微である。

よつて両者の過失割合は被告鈴木につき三〇パーセント、亡忠喜につき七〇パーセントとすべきである。

かりに当時自動二輪車を運転していた者が被告野沢であつたとしても、同被告の前記のような過失は次の理由により同乗者である亡忠喜の過失と同視されるべき関係にあるから右と同率の過失相殺がなさるべきである。

すなわち、事故当時同人らの乗つていた自動二輪車は亡忠喜が自宅において友人の伊藤英俊から借り受け、自己のため運行の用に供していたものであること、亡忠喜はそれまでにも度々伊藤から同車を借り受けたことがあり、あたかも自己の単車と同じようにこれを支配し利用していたこと、亡忠喜と被告野沢とは原動機付自転車に乗つていつも一緒に遊んでいる間柄であつたこと、被告野沢自身も車を持つており、現に当日もこれに乗つて亡忠喜へ遊びに行つたのに、わざわざ亡忠喜が伊藤から借りた車に乗り換えて二人で高橋方へ赴いていることなどの事情があつたものであり、これらの事情を総合すれば、被告野沢は亡忠喜の依頼にもとづき同人が事実上保有支配していた車両を運転していたものと認めることができる。このように亡忠喜において事故発生当時本件自動二輪車の運行を支配し運行利益を享受していたものである以上、同時に同人において運行から生ずる危険も負担するのが公平である。

以上いずれの理由によるも、すでに支払済みの保険金三〇〇万円および葬儀費一〇万円の合計金三一〇万円のほかには、原告らが被告らに対して請求し得べきものは存在しない。

三、被告野沢の答弁

原告ら主張(一)の事故発生にかんする事実、同(二)の責任原因にかんする事実はいずれも否認する。同(三)の損害にかんする事実のうち、原告らが亡忠喜の実父母であることは認めるが、その余は不知。

四、過失相殺の抗弁に対する原告らの答弁

否認。

第三、証拠関係〔略〕

理由

一、事故の発生

(一)  原告らと被告会社および被告鈴木との間においては、原告ら主張の日時場所で、被告会社の従業員である被告鈴木が被告会社所有の大型貨物自動車を運転して南進中に、亡忠喜と被告野沢とが同乗していた自動二輪車と衝突し、亡忠喜が死亡した事実は争いがない。そして〔証拠略〕を綜合すると次のような事実が認められる。

すなわち、本件事故現場は交通整理の行われていない十字路交差点で、曲り角は南進車および西進車のいずれからもたがいに見通しが悪く、西進車の道路には交差点の手前に公安委員会の設置した一時停止の標識が立てられていたが、当時被告鈴木は毎時約三五キロメートルの速度で被告車を運転して南進し、交差点を直進して通過しようとして、そのままの速度で交差点へ入ろうとしたところ、交差する左方道路から被告野沢の運転する自動二輪車が毎時約五〇キロメートルの速度で西進して来て一時停止することなくそのままの速度で直進し交差点に入ろうとするのを発見したが、すでに至近距離にあつたため急制動の措置も及ばず、ついに交差点内において被告車を前記自動二輪車に衝突させ、その衝撃のため同車後部座席に同乗していた亡忠喜を跳ね飛ばして路上に転倒させて、同人に対し頭部打撲傷、右肘節部、右大腿部、右外踝部打撲擦過創の傷害を与えたうえ頭部打撲傷による脳挫創により同人を即死させるに至つたものである。

以上のとおり認めることができ、〔証拠略〕は〔証拠略〕と対比して信用することができず、ほかに反対の証拠はない。

(二)  原告らと被告野沢照夫との間においては、〔証拠略〕により前記(一)と同様の事実を認めることができる。

〔証拠略〕のうち、右認定に反する野沢照夫の供述記載は前顕甲第三、第一〇および第一二号証の各記載と対比して信用することができず、ほかに反対の証拠はない。

(三)  そうだとすれば、本件事故は交差点通過に際しての被告鈴木の徐行義務違反の過失と被告野沢の一時停止義務違反の過失とが競合して惹起されたものであることが明らかであるから、同被告らは亡忠喜を死亡の結果に至らしめたことにつき共同不法行為者として損害賠償の責任を負わなければならない。

そして被告会社は自動車損害賠償保障法第三条に基づき、被告車の保有者として亡忠喜の死亡にもとづく損害賠償につき被告鈴木とともに全部義務を負うべきものである。

二、損害

(一)  亡忠喜の逸失利益

原告と被告会社および被告鈴木両名との間では公文書につき真正に成立したと推認することができ、被告野沢との間では〔証拠略〕を綜合すると、亡忠喜は昭和二五年三月一二日生れ(したがつて事故当時一八才四ケ月)の健康な男子で、昭和四三年三月に静岡県立気賀高校商業科を卒業し、同年四月から事務機販売業を営む株式会社金指商会(浜松市鴨江一丁目二八番二三号)に就職し、平均月額二万六、〇四二円の給与を得ていたが、その後自衛隊入隊を志ざし、同年七月一〇日に同会社を退職し、自衛官採用試験の申込手続を済ませ第一次試験を経て、第二次の面接試験日の通知を待つていた間に本件事故に遭遇したものであることが認められる。

そうすると同人は事故当時は失職中で収入もなく、かつ近い将来にはたして自衛官として採用されるかどうかも不確定であつたわけであるが、右のように同人が高校卒業の学歴を有して稼働能力があり、かつ勤務意欲があつたことも窺われることから考えると、もし自衛官採用試験に不合格となつても直ちに他に職業を求め再び給与生活者となつたであろうことが推測されるから、本件事故がなかつたとすれば同人としてはおそくとも満一九才に達するまでの間には就職し、爾後通常の稼働可能期間内はすくなくとも全国労働者の平均賃金と同程度の収入を得ることができたものと認めるのが相当である。

ところで厚生省大臣官房統計調査部発表の第一二回生命表によれば満一八才の男子の平均余命は五二・七九年であるから本件事故がなかつたとすれば同人は右の期間は生存し、この間において六〇才まで事業所に就労して給与所得を挙げることができたものと推認されるが、労働省労働統計調査部編昭和四三年度賃金構造基本統計調査報告によれば、企業規模一〇人ないし九九人の事業所において男子労働者が平均月間きまつて支給を受ける給与の額は一九才が金二万六、五〇〇円、二〇才から二四才までが金三万五、一〇〇円、二五才から二九才までが金四万五、五〇〇円、三〇才から三四才までが金五万一、八〇〇円、三五才から三九才までが金五万四、四〇〇円、四〇才から四九才までが金五万四、九〇〇円、五〇才から五九才までが金五万円、六〇才が金四万一、五〇〇円であることが当裁判所に顕著であるから、これを基準として亡忠喜の一九才から六〇才までの就労期間中の収入額を計算し他方同人の生活必要経費としてその二分の一を消費するものとし、収入額から生活必要経費を控除した残額の純収入につき同人がこれを一八才のときに一時に入手するものとしてホフマン式計算法により年五分の中間利息を控除して計算すると、別紙計算表(2)記載のとおり合計金五七〇万八五二一円となることが明らかである。したがつてこの金額の範囲内で本件事故により同人につき金四九九万九、六一四円の逸失利益の損害が生じたとする原告らの主張は理由がある。

(二)  死体検案料、処置料および検案書作成費

〔証拠略〕によれば、同原告は昭和四三年八月八日に賛天堂医院(浜松市相生町四三八番地の一)に対し、亡忠喜の死体検案料三〇〇〇円、同処置料二、〇〇〇円および検案書作成料九〇〇円の合計金五九〇〇円を支出し、同額の損害をこうむつたことが認められる。

(三)  葬祭費

〔証拠略〕によれば、同原告は亡忠喜の葬儀および法要の費用として同表1ないし6、8ないし17各記載のとおり合計金一五万三七五五円を支出したことが認められる。同表7記載の酒代八、七六五円の支出についてはこれを認むべき証拠がない。

したがつて葬祭費の損害にかんする同原告の主張は金一五万三七五五円の限度において理由がある。

(四)  慰藉料

亡忠喜が本件事故により瞬時にして若い生命を奪われ悲惨な最期を余儀なくされたについては同人自身の苦痛が多大であつたであろうことは容易に推察し得るところである。

他面原告らが亡忠喜の父母であることは原告らと被告野沢との間で争いはなく、被告会社および被告鈴木との間では〔証拠略〕によつて明らかであるが、原告ら各本人尋問の結果に照らすと、原告らは本件事故当時まで長男である亡忠喜を愛育し同人の将来を嘱望していたところ同人の突然の死により父母としてそれぞれ多大の精神的苦痛を受けたことを推測することができる。

そこで本件にあらわれた諸般の事情を考慮し、亡忠喜および原告ら固有の各慰藉料を次のとおり定めるのを相当とする。

亡忠喜につき金五〇万円

原告らにつき各金一〇〇万円

(五)  原告らの相続

〔証拠略〕によれば、亡忠喜の相続人としては父母である原告ら両名のみであることが認められるから、同人の逸失利益金四九九万九六一四円および慰藉料五〇万円の合計金五四九万九六一四円の損害賠償債権は同人の死亡により原告らが各二分の一の割合(すなわち各金二七四万九八〇七円宛)を相続したことが明らかである。

(六)  過失相殺にかんする被告会社および被告鈴木の主張について本件事故当時自動二輪車を運転していた者が被告野沢であつて亡忠喜でなかつたことは前認定のとおりであるから、亡忠喜が本件事故当時自動二輪車を運転していたことを前提とする過失相殺の主張は前提を欠き理由がない。

つゞいて被告会社および被告鈴木両名は、事故当時自動二輪車を運転していた者が亡忠喜ではなく被告野沢であつたとしても本件事故の際の同被告の運転上の過失は同乗者である亡忠喜の過失と同視し得べき関係にあつたとし、その前提として本件事故当時亡忠喜が本件自動二輪車を事実上保有支配していた立場にあつたものと主張する。

しかし本件において右主張のように当時亡忠喜が事実上自動二輪車を保有支配する立場にあつたことを認めるに足る的確な証拠はないからこのような事実を前提とする右主張も理由がない。

もつとも〔証拠略〕を綜合すると、本件事故はかねて遊び仲間の間柄にあつた被告野沢と亡忠喜とが友人の伊藤英俊所有の自動二輪車に乗車し浜松市渡瀬町の高橋哲夫方を訪ね、同人方から帰宅する途上で発生したものであること、そして二人が右自動二輪車に乗るに至つた事情については、当時被告野沢ははじめ同市葵町の原告ら方へ亡忠喜を訪ねたところ、同所で友達の高橋哲夫に会いに行く用件を思い出したので、亡忠喜を誘い一緒に出掛けることとしたが、当時同被告が原告ら方まで乗つて来ていた原動機付自転車が小型のため二人乗りに不向きであつた関係上、たまたま本件自動二輪車に乗り同所へ来合せていた伊藤英俊から同車を借り受け亡忠喜を同乗させて前記高橋方へ赴いたものであることがそれぞれ認められるが、このような事実のみによつてたゞちに亡忠喜が本件事故当時同車を保有支配していたものと見ることはできないし、まして被告野沢の運転上の過失が同乗者の亡忠喜の過失と同視し得べき関係にあつたとすることもできない。

もとより本件事故当時亡忠喜が本件自動二輪車に同乗していた間にみずから危険状態を造り出し、あるいは危険が充分予測される状況にありながらあえて同乗したなどの事情のあるときはこれを斟酌すべきは当然であるが、このような事実を認むべき証拠もなく、ほかに本件において被害者である亡忠喜に対する関係で共同不法行為の一方の当事者である被告鈴木の責任を軽減し得べき事由は見当らないから、結局被告会社および被告鈴木の抗弁は容れることができない。

三、損害の填補

以上によれば原告浅野春吉は前記検案料等五九〇〇円、葬祭費一五万三七五五円、固有の慰藉料一〇〇万円のほか、相続にかゝる前記金二七四万九八〇七円を加えた合計金三九〇万九四六二円の、原告浅野くは固有の慰藉料一〇〇万円および相続にかゝる前記金二七四万九八〇七円との合計金三七四万九八〇七円の各損害賠償債権を有するものであるところ、損害の填補として原告らが自動車損害賠償責任保険の給付金三〇〇万円を受領したほか、原告浅野春吉が被告会社より葬儀費用として金一〇万円の弁済を受けたことはその自認するところであるからこれらを各損害額から控除すると、被告らに対し原告浅野春吉は金二三〇万九四六二円、原告浅野くは金二二四万九八〇七円の各損害賠償残債権を有していることとなる。

四、結論

よつて原告らの請求は、被告ら各自に対し原告浅野春吉において金二三〇万九四六二円、原告浅野くにおいて金二二四万九八〇七円と各金員に対する本件事故発生の後の昭和四四年三月七日より各完済まで民事法定利率年五分の割合の遅延損害金の支払を求める限度において正当として認容し、その余を失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条、原告ら勝訴部分の仮執行の宣言につき同法第一九六条を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 土屋連秀)

計算表(1)

〈省略〉

計算表(2)

〈省略〉

葬祭費明細表

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例